新・駅前そぞろ歩記

残暑が続く街の公園に ほんの少し秋の足音が
今回の登場人物
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東武東上線・朝霞駅は開業当初「膝折(ひざおり)駅」という駅名でした。当時は「朝霞」という地名はなく、膝折村という名称で呼ばれ、江戸時代には川越街道4番目の宿場・膝折宿として栄えていた地域です。その後「東京ゴルフ倶楽部」が東京からこの村に移転することになり、ゴルフで膝折では縁起がよくないということで、村名を改称したという説も。昭和7年、倶楽部の名誉会長・朝香宮殿下の名をいただいて朝霞町が誕生しました。

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根岸台に残るいにしえの面影

朝霞駅東口は、かつて北口として利用されていましたが、駅前広場のリニューアルで平成20年から東口になりました。まず東口から根岸台に向かいます。

根岸台は郊外の住宅地ですが、かつては武蔵野台地の農村風景が広がっていました。その面影をいまに伝えるのが、旧高橋家住宅(国指定重要文化財)。江戸中期に造られた農家で、この時代の民家が現存しているのは関東でも希有(けう)なことです。周囲を土壁で囲んだ構造で、シシマドと呼ばれる格子窓を使っているのがこの時代の特徴。周囲には畑や屋敷林が広がっています。

湧水代官水(ゆうすいだいかんみず)(市指定天然記念物)も、この地のかつての暮らしを伝えています。斜面に流れ出る水は昔から灌漑(かんがい)用水などに使われてきたものですが、昭和になると人の手が入ることなく木や雑草に埋もれていました。そこで数年前に斜面林や水路を整備し、かつてあった湿地も再現。こんこんと静かに湧き出る水を間近に見ることができます。

また、この地には古代の史跡もあります。根岸古墳群のひとつ、柊ひいらぎづか塚古墳(県指定史跡)です。この地域では数少ない前方後円墳で、墳丘の長さ66ⅿ、後円部の直径48ⅿ、高さ7ⅿの大きさ。周濠(しゅうごう)から出土した埴はに輪わ などから6世紀前半に造られたものだと推定されています。現在、周囲に芝生と遊歩道を整備し、柊塚古墳歴史広場として開放。 入り口には家形埴輪(いえがたはにわ)そっくりの公衆トイレがあって、くすりと笑えます。なお、ここで出土した埴輪の一部は朝霞市博物館に展示されています。

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子どもたちがのびのびと遊べる公園づくり

朝霞駅南口駅前広場は平成19年にリニューアル。駅舎から広場に向かって大きく張り出した透明なシェードがお洒落(しゃれ)です。この駅前広場のシンボルが、本田美奈子さんのモニュメント。幼いころから朝霞で育ち、ずっと朝霞を愛し続け、38歳の若さで白血病で亡くなった歌手・本田さんの功績を讃たたえて立てられました。碑には彼女の顔写真や直筆メッセージが刻まれ、ドボルザークの交響曲に自ら詩をつけた楽曲『新世界』が流れます。

朝霞市内には39の都市公園があり、市役所の南側は公園地帯。朝霞中央公園は野球場と陸上競技場を持つ広い敷地で、夏の花火大会の会場にもなる、いわば朝霞市民のメイン広場です。その東側の住宅街の中には「広沢の池」という湧水池(ゆうすいち)があります。越戸川(こえどがわ)の水源のひとつで、湧水代官水と同じく根岸台の灌漑用水として使われていました。畔(ほとり)には広沢観音の祠(ほこら)が建っています。

青葉台公園にはザイルクライミングやロープウェイなど子ども用の遊具が充実していて、子育てファミリーに大人気。噴水と人工の小池や川を組み合わせた水遊び場は、9月末まで稼動しています。ウォーキングのコースもあります。

その隣には、平成24年秋にオープンした「朝霞の森」が広がります。バットを使ってボール遊びができるエリアや火を使えるエリア(朝霞市みどり公園課に事前申請)があります。またここでは他の公園では禁止されている焚き火や木登り、穴掘りなどの遊びがのびのびできる「プレーパーク」を毎月開催。だれでも無料で参加できます。

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