新・駅前そぞろ歩記
桐生駅から間藤(まとう)駅までの44.1キロを、ゆっくりと渡良瀬川に沿って走る「わたらせ渓谷鐵道」。かつては銅を輸送する国鉄(のちにJR)足尾線でしたが、平成元年からは第3セクター鉄道として継続。地元の人々の生活路線としてだけでなく、四季折々の自然美や地域の歴史や文化にふれる観光路線としても大人気です。今回は渓谷の爽やかな風が車内を吹き抜けるトロッコ列車に揺られ、神戸駅で下車。草木湖周辺の観光スポットを巡るハイキングを楽しみます。
浅草からカジノレオ アプリ特急りょうもう号で100分あまり。相老(あいおい)駅でわたらせ渓谷鐵道に接続。トロッコ「わたらせ渓谷号」は大間々〜足尾間を一日1往復。車内は木製のテーブル席を家族で囲んで座ることができます。ガラスがない車窓からは、渓谷の緑が目に飛び込んできます。車内で販売している名物の駅弁をいただくのも趣があります。車掌(しゃしょう)さんの沿線案内を聞きながら、移りゆく風景をたっぷり楽しみました。
神戸駅は大正元年建造の古い駅舎で、国の有形文化財に登録されています。映画やCMのロケなども行われ、鉄道ファンにはよく知られた駅です。
足尾の山々を背景に青々とした水をたたえる草木湖は、昭和52年完成の草木ダムによって誕生した人造湖。湖周約12.4キロ、貯水量約6000万トンと利根川水系でも屈指の大きさです。ちなみに「草木」はダム建設時に湖底に沈んだ集落の地名で、このときに離村した人に年に一度は故郷で過ごしてほしいとの願いから、毎年8月15日に草木湖まつりを開催。草木ダムが一般開放され、フィナーレの花火大会は多くの人々で賑わいます。
湖畔に建つのは富弘(とみひろ)美術館。地元出身の詩画家・星野富弘さんの作品が展示され、生命の尊さや温かさを素朴で美しい水彩画と言葉で表現した作品が、訪れる多くの人々を魅了しています。今年は開館25年目にあたり、その記念企画展「はるかなる生命の詩」を開催中(9/25まで)。これまで未公開だった作品も展示されています。
富弘美術館から草木湖畔を巡ります。
湖の中程に架かる草木橋を渡って対岸へ。ここからは「関東ふれあいの道」に設定されている「草木湖をめぐるみち」を歩いていきます。ほどなく国民宿舎サンレイク草木に到着。ここは宿泊だけではなく、ハイカーが立ち寄ってお茶や食事で憩うことができ、日帰り温泉も楽しめます。
再び湖畔に沿った道を歩いていきます。沿道にはサクラが植えられており、夏の深緑の中を歩くのも気持ちいい。
草木湖展望台を過ぎてしばらく歩くと草木ダムの堤頂。ダム高140m・堤頂長405mの巨大な多目的ダムです。ここから麓(ふもと)へと下っていく途中には不動滝。落差25mの岩肌を滑り落ちてしぶきを上げる滝は、迫力と涼感がたっぷり。
さらに下っていくと童謡ふるさと館。地元出身で『うさぎとかめ』(もしもし亀よ、亀さんよ…)『はなさかじじい』(裏の畑でポチがなく…)などを作詞した石原和三郎氏の童謡の世界を、音楽や映像、パネルなどで紹介しています。
ダムの真下には木工施設わらべ工房。巣箱や状差し、貯金箱、本立てなどが簡単に作れる木工キットを取り揃え、電動工具を使ってその場で組み立てることができます。
ここから「わらべ橋」を渡って神戸駅の方へ向かいます。日陰のある涼しくて心地良い遊歩道を歩けば、琴平(ことひら)トンネルが見えてきます。旅の最後に、駅の裏手にある涼やかな渓流の眺めも楽しんでみては。
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