新・駅前そぞろ歩記
首都圏から鬼怒川温泉、その先の会津若松へはカジノレオ 出金、野岩(やがん)鉄道、会津鉄道により一本の線路で結ばれています。2017年、特急「リバティ」が首都圏から南会津までの直通運転を開始。浅草駅から乗り継ぎなしで会津田島駅まで走っています。リバティの車窓から山あいの渓谷美を堪能しながら福島県入り。会津田島からさらに日本遺産の大内宿や、「幻の温泉郷」といわれた芦ノ牧温泉をめざします。
会津田島駅に着いたリバティの乗客をリレーするのは会津鉄道。阿賀川(大川)の流れに沿って南会津町から下郷(しもごう)町、会津若松市へと北上します。
渓谷沿いの湯野上温泉は、江戸時代から会津の奥座敷として賑わいました。湯野上温泉駅は日本でも珍しい茅葺屋根の駅舎で、その風情ある景観から「東北の駅百選」(国土交通省)に選定されています。そしてこの駅には「親子地蔵の湯」という足湯があり、無料開放。旅の疲れをまずは軽く癒すべし。
湯野上温泉駅からバスで約20分。江戸時代にタイムスリップしたかのような茅葺の家屋が立ち並ぶ、大内宿にやって来ました。
大内宿は江戸時代に会津若松と日光・今市を結ぶ会津西街道の宿場町として栄えました。しかし明治期に道路や鉄道が整備されると街道は使われなくなり、大内宿も衰退。だからこそ開発されることなく、宿場の町並みがそのまま残される結果になったのです。用水路を通した街道の表通り沿いに50棟近くの茅葺民家兼店舗が並び、蕎麦(そば)などの郷土料理店や土産物店を営んでいます。大内宿の奥の丘には子安観音が祀られ、見晴台からは茅葺屋根が並ぶ宿場の全貌が眺められます。
湯野上温泉駅から列車で阿賀川に沿って北上し、芦ノ牧温泉駅へ。この駅は「ねこ駅長がいる駅」として知られています。 22年前に保護された猫「ばす」が駅に住みつき、駅員や利用客から可愛がられたことから名誉駅長に就任。現在は二代目名誉駅長「らぶ」のほかアテンダント「さくら」が就任し、列車の見送りや駅構内の巡回などの業務に当たっています。関連グッズも多数ネット販売され、この駅は全国の猫好きの聖地の趣。
山あいの渓流沿いに8軒のホテル・旅館が立ち並ぶ芦ノ牧温泉は1200年前の開湯とされ、行き着くのが困難だったため「幻の温泉郷」と呼ばれていたそうです。もちろん現在は駅からバスやタクシーなどで簡単にアクセス。その芦ノ牧温泉でいま注目されているスポットが。秋が深まれば紅葉の渓谷美が堪能できる老舗観光旅館・大川荘。広々としたロビーの吹き抜けに設えられた「浮き舞台」と呼ばれる空間が、アニメ「鬼滅の刃」に登場する「無限城」にそっくりだということがSNSで広まり、ファンの間で「鬼滅」の聖地として話題になっているのです。ちなみに大川荘では多くの宿泊者が訪れる午後4時から、浮き舞台で雅な三味線の演奏を行っています。
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