新・駅前そぞろ歩記
急行列車や、浅草から大宮・野田市方面まで一本で行けるアーバンパークライナーの運行で利便性が格段にアップした東武アーバンパークライン。大宮駅と船橋駅を結ぶ東武アーバンパークラインの中核都市「柏」にほど近い、新柏駅と増尾駅。東京のベッドタウンでありながら、豊かな自然と史跡が多く残る魅力的な街を散策しました。
新柏駅の高架下には、東武アーバンパークラインでは初となるEQUiA(エキア)が昨年11月にオープン。柏の樹木をイメージした木彫の柱や新緑の破風を取り入れた建物デザインが駅全体の雰囲気をリフレッシュしています。駅から北東へ延びる新柏さくら通りを中心に閑静な住宅街が続きます。
住宅街を歩いてみると、たとえば名戸ヶ谷第五公園など、街区ごとに小さな公園や緑地を発見。柏市は千葉県の市町村で最も公園の数が多いそうです。名戸ヶ谷ビオトープもその一つ。この地域はかつて水田が広がり湧き水が流れていましたが、その自然環境を保全するために整備された水田・湿地です。年間ずっと水を張った水田や、ヨシやススキが茂る湿地に渡された木道を歩けば、さまざまな水生動植物を観察することができます。
ビオトープの園内で昔話「ゆずの木」の看板を発見。柏市には各地に昔話が約50話存在し、10か所に昔話を紹介する看板が設置されています。その看板にはQRコードが記され、スマートフォンで読み込むとその昔話を動画で視聴できる仕組み。ビオトープの近くの法林寺にも、昔話「法林寺の大いちょう」の看板が。境内にそびえる天然記念物の大銀杏は、高さ30mで柏市内最大の樹木です。
増尾駅の開設は大正12(1923)年と古く、当時の周辺は農村でしたが、近年は自然環境に恵まれた閑静な住宅街になっています。
増尾には中世の城址が2つ存在しています。ひとつは増尾城址。鎌倉時代から戦国時代にかけて築かれた城山の跡地で、主郭を囲む高い土塁、堀切、曲輪などの遺構を見ることができます。そして増尾城とは谷を挟んだ台地に幸谷城館跡(きつね山歴史公園)。鎌倉時代に築かれたと推定され、屋敷林の中に土塁や堀が残っています。なお、この地には孤高の画家・高島野十郎の晩年のアトリエ跡地があり、城館跡と併せて所有者のご好意によって開放されています。
旧増尾村の鎮守で「増尾八幡さん」として親しまれているのが、廣幡八幡宮。社伝によれば、なんと9世紀の創建で、12世紀には柏市近郊一帯の総鎮守として社殿が創建された古社です。境内には、昔話で八幡さんの神輿を題材にした「厄病おん出し」の看板があります。またその他にもこの地域には「まれいど」(妙見堂跡)、「カラス天狗と祭り見物」(増尾ふるさと会館)、「常使えのムジナ退治」(堂谷第二公園)、「鷲山のむじな」(鷲ノ山公園)などの昔話の舞台があるので、ぜひ巡ってみてください。
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