新・駅前そぞろ歩記
埼玉県志木市と富士見市の境界線に流れる柳瀬川。
春になると、志木市側の右岸に沿って広がる桜堤は東武東上線沿線で有数のサクラの名所となります。その花景色は川を渡る電車の車窓や、柳瀬川駅のホーム上からも眺めることができますが、せっかくの花見。柳瀬川桜堤を歩いて、澄んだ空気と心地よい風を感じながら花風景・水風景を楽しみましょう。さらに川を渡って富士見市側にも足を延ばしてみます。
狭山丘陵から流れ出し、志木市で新河岸川に合流する柳瀬川は全長約20キロの一級河川。
柳瀬川駅東口付近から始まる柳瀬川桜堤にはソメイヨシノの古木が堤の外側から川に向かって伸びているので、満開期に歩くと左側に川の風景、真上に花を眺めることになります。また堤と川の間の河川敷にも春の野草が花を咲かせています。この流域はカモなどの水鳥も多数生息。緩やかな川の流れで遊ぶ水鳥にサクラのピンクと野草の白や黄色の花々と、まさに春爛漫。開花時期は例年3月下旬~4月上旬。夕方からぼんぼりが灯されます。
柳瀬川桜堤の近くには別のサクラの名所もあります。その一つは長勝院跡に咲くチョウショウインハタザクラ。ヤマザクラの変種で、花弁が6~7枚あるように見えることから平成10年に新種と認められた、樹齢400年以上の原木です。開花時期は4月上旬。
もう一つは宝幢寺のシダレザクラ。境内に咲き誇るサクラの真下には十三仏像が鎮座しています。開花時期は柳瀬川桜堤と同じく3月下旬~4月上旬。また宝幢寺にはカッパ伝説が残されており、この話を元に志木市内には現在28体のカッパ像が点在。宝幢寺はもちろん、チョウショウインハタザクラの根元や柳瀬川の水面にもカッパがいます。
柳瀬川桜堤の対岸は富士見市の水みず谷たに東地区。
川に沿って広がる通称「水谷田んぼ」は、柳瀬川流域で最大の水田地域であり、貴重な生態系が残されています。
新河岸川の近くまで歩いていくと、名所スポットが集中しています。水宮神社は室町時代に創建された修験寺が前身で、権現造りの社殿が秀麗。社殿前に並ぶのは一対の狛犬……ではなく、全国でも珍しい狛蛙。神社に古くから伝わるカエルの伝承に因んだもの。
水宮神社に隣接する大應寺は創建年代不詳。
空海が関わった伝説もあります。立派な本堂の前に建つ山門は享保年間に造られた珍しい朱色の鐘楼門。参道はサクラの名所として近隣住人から親しまれています。
水子貝塚公園は、国史跡貝塚を整備して開園。縄文時代の森に囲まれたムラを再現し、園内には5棟の竪穴住居が復元されています。
公園内の展示館では出土品の展示や、発掘した住居跡を復元・再現し、縄文時代の人々の暮らしぶりを紹介しています。隣接する資料館では、市内から出土した資料を展示しています。
ここから目指すゴールはみずほ台駅。途中にあるみずほ台中央公園は、東みずほ台地区の憩いの広場でサクラの名所でもあります。
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