新・駅前そぞろ歩記
今回訪れたのは東武東上線の鉢形駅ですが、ここ寄居町一帯は、休日を楽しむファミリーに注目のスポットが点在しています。埼玉の"母なる川"と呼ばれる荒川上流に育まれて、大空の下には心地よい自然がいっぱい。川辺の「かわせみ河原」では、キャンプしてバーベキュー してカヌー漕ぎに興じてもいい。珍しい「かわはく(川の博物館)」や「鉢形城歴史館」を訪れれば、子どもはもちろん、大人だって遊びながら勉強になるでしょう。家族そろって、ぜひどうぞ。
春にリニューアルされたばかりの鉢形駅は、水車小屋のような外観。デザインは、通称"かわはく"こと「埼玉県立 川の博物館」にある大水車のイメージです。町のランドマークともなったこの水車は、日本最大級のスケール、まるで観覧車のよう。駅近くの踏切を渡り15分ほど歩くと、きらめく荒川の畔ほとりに、全貌を現します。「かわはく」は博物館であると同時に遊園地の魅力も備えているのです。本館の展示では、河川と人の暮らしの関わりが、実物大レプリカと映像シミュレーションで体感できます。"学べる"イベントも数多く開催されています。
大水車がゆっくりと回る屋外は、広々としていて様々なコーナーがありますが、必見は「荒川大模型173」でしょう。これは荒川の源流から東京湾まで、173㎞にわたる全長を正確に縮小した大模型。大自然への畏敬の念と同時に、この大いなる流れを治水した人々の知恵も偲ばれます。また、「荒川わくわくランド」は子どもが喜ぶウォーターアスレチック施設。水と戯れながら、その科学性や活用法まで体得できると大人気で、可愛い歓声が絶えません。
一方、こうした歓声は、「かわはく」の前に開ける「かわせみ河原」からも聞こえてきます。荒川上流の風光に恵まれた岸辺ですが、いまや整備管理され、アウトドア ファミリーのメッカと言われるほど。週末ともなれば相当な賑わいです。誰だって、ここではキャンプしたりバーベキューしたり…大いに楽しめることでしょう。
「かわせみ河原」の流れを、マップでたどっていくと、やがて玉淀地区の景観を経て、「鉢形城跡」へと向かいます。この断崖絶壁に築かれた鉢形城といえば、興味をそそられる歴史ファンも多いはず。戦国時代を彩った代表的な名城です。築城は1476年、長尾 景春(ながお かげはる)によるものといわれますが、後に北條氏邦(ほうじょう うじくに)が拡充し、難攻不落を誇りました。その物語には、武田信玄・上杉謙信・前田利家・真田昌幸などが登場し、豊臣秀吉側の大軍により落城するー。お馴染みの戦国歴史ドラマの舞台となったわけです。いまではそれも夢の跡ですがー。
城跡は国指定史跡として保存され、広々とした「鉢形城公園」が私たちを迎えます。堀や土塁などが良好な状態で残され、本曲輪(くるわ)(本丸)や二の曲輪といった呼び方にも、往時へとタイムスリップする気がします。ちなみに"鉢形"という名前は、この城の建っていた岡の形が、兜かぶとの頭(ハチ)を思わせたことに由来すると聞きました。
同じ園内にある「鉢形城歴史館」もまた興味深い。この名城にまつわる歴史や建築構造を中心に、土地に伝わる生活文化まで、映像を交えて分かりやすく解説展示され、このアウトドア散策の知的サポートになりました。
こうして休日を満喫した後は、ちょっと寄り道。「里の駅 アグリン館」という工房カフェを見つけました。まるで白雪姫が住んでいそうな外観で、ご当地スイーツや軽食を製造し販売中。おみやげ話にも美味をそえています。
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