新・駅前そぞろ歩記

赤城
今回の登場人物
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遠くから見えていた赤城山が次第に近づいてくると、赤城駅に到着。連なる名峰の裾野に、旅情がただよいます。駅前に続く由緒ある街道には、いまも老舗商店が点在し、街の歴史と繁栄を物語る博物館「コノドント館」も興味深い。同時に、こうした人の営みと隣り合わせに共存する大自然も、この散策の大きな魅力です。悠々と流れる渡良瀬川と切り立った断崖が生む「高津戸峡」など、その絶景には目が覚めるよう! 涼やかな迫力で私たちを迎えてくれます。

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群馬県みどり市〝大間々(おおまま)町〞が、今回のそぞろ歩きの舞台です。赤城駅前と接する本町通り界隈は〝東国文化歴史街道〞のひとつ。かつては足尾銅山の宿場町として、また絹や農作物が集まる市場町として栄えました。商店街となった現在も、その道筋を復元された常夜灯(じょうやとう)が彩り、老舗の数々が商いをしています。群馬県で最も古い醤油の醸造元といわれる「岡直三郎商店」の創業は天明7年。なんと2世紀を超えて素材と職人技を守り、時代の嗜好にかなった醤油づくりを続けています。最近では〝醤油ソフトクリーム〞でも人気ですが、時代を経た醸造所や店舗など、建物にも歴史の重みが感じられます。他にも、開業100年以上となるカレーうどんの「山本屋」、辛口の銘酒・赤城山の蔵元「近藤酒造」…と、話題の名店が点在しますから、ついつい寄り道してしまいます。

こうした街の歴史を、風土や民俗的な視点から展示するのが、「みどり市大間々博物館(コノドント館)」です。コノドントとは、有史以前の地層から発掘された生物の化石。いまだに謎に包まれていますが、日本では大間々町在住の研究者によって初めて発見されたことから、館の愛称になっています。もちろん館内には、その実物展示もありますから乞うご期待。3Dで恐竜などが飛び出す立体映像室とあわせ、子どもたちに大人気のコーナーです。同時に博物館の建物そのものも必見。大正期に建てられた銀行がそっくり使われているからです。そのレトロな洋館に、往時の豊かさが偲ばれます。

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一方、街を流れる渡良瀬川に向かえば、風景は驚くほど表情を変えます。そもそも大間々の〝まま〞とは、切り立った崖のこと。その名の通り、関東の耶馬溪(やばけい)と讃えられる「高津戸峡」にたたずめば、絶景につつまれます。下流に赤い橋(高津戸橋)、上流に白い橋(はねたき橋)を配したコントラストも心憎いけど、断崖をうめる樹々は鮮やかで、その高々と聳(そび)える夏の緑が、深く澄んだ渡良瀬の水面に映ります。この2つの橋の下を結んで開かれたのが「高津戸峡遊歩道」。500m ほどの道ですが、水と岩が織りなす珍しい自然現象を観察したり、森閑とした冷気を深呼吸するうちに、身も心も癒されます。

こうした自然の妙を借景(しゃっけい)にした「ながめ公園」は、たしかに〝眺め〞の良さが魅力です。起伏に富んだ広い園内の一隅には「ながめ余興場」があり、ここは昭和の大衆芸能史を支えた芝居小屋。市指定重要文化財として、現在も盛んに利用されています。ちなみに、秋に公園内で行われる関東菊花大会はとても盛大。開催は10月下旬からですが、その下準備は既に始まっているようです。

そして、この公園のそばにある「神明宮」もぜひ訪れたい。古くから土地の総鎮守として中心的な存在だけに、見事な風格です。毎年8月1日から3日間、市中あげて祝う「大間々祇園まつり」の起点となるお社もここ。〝おぎょん〞の名で親しまれ、380年以上の伝統を誇る祭りは、本町通りを中心に、山車(だし)の巡行や花火などで大盛況…こうして大間々の夏は、頂点を迎えます。

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赤城MAP
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