新・駅前そぞろ歩記
花、食、温泉、自然、歴史・文化をテーマに、栃木県の魅力を発信し、おもてなしを全国展開する「栃木デスティネーションキャンペーン」。先月号で紹介した日光・鬼怒川に続いて、今回は川越(埼玉)、佐原(千葉)と並ぶ関東を代表する「蔵の街」栃木市を紹介します。江戸時代より日光市例幣使(れいへいし)街道の宿場町として、さらに巴波(うずま) 川の舟運でも栄え、北関東の商都として賑わった面影が此処彼処(ここかしこ)に残っています。平成の栃木の魅力は、蔵だけではありません。
ガラス面を多用して蔵造りを彷彿とさせるデザインの栃木駅舎。北口に出ると蔵の街へ向かう大通りが延びていますが、まずは巴波(うずま)川に沿った蔵の街遊歩道を歩きます。季節は初夏。今年も巴波川の風物詩「うずまの鯉のぼり」が行われています(5月8日まで)。色とりどりの鯉のぼりの数は「イイコイ」にかけて1151匹。風に吹かれて気持ち良さそうに泳ぐ姿を眺めながら川面を行くのは遊覧船です。舟運で栄えた往時の様子を再現した木造船で、そこから眺める蔵の街の景観も見どころ。巧みな竿さばきの船頭さんが、船頭唄と栃木の歴史話でおもてなしします。
川沿いに120m巡らされた黒塀の中に建つ白壁土蔵は、木材回漕問屋を営んでいた豪商・塚田家の屋敷。その一部は塚田歴史伝説館として開放され、家宝約300点や人形山車(だし)などが展示され、ロボットによる蔵芝居などが上演されています。
栃木市郷土参考館は、質商を営んできた坂倉家の土蔵と主屋からなる約200年前の建物。平屋に見える建物は中に入ると2階造りで、天井の梁や潜(くぐ)り戸など、この地方の商家造りの特徴を知ることができます。
横山郷土館は、両側に相対して蔵が並ぶ両袖切妻造(りょうそできりづまづく)りという貴重な建物。とちぎ蔵の街美術館は、約200年前の土蔵を改修した美術館です。
栃木は明治初期には県庁が置かれていたため、その当時の政治・文化・経済の中心地としてハイカラな洋館がいまなお市内各地に残されています。その代表が栃木市役所別館(旧栃木町役場庁舎)。元県庁跡地に町役場として大正10年に建てられた洋風建築で、周囲には県庁時代に掘られた県庁堀が、巴波川からの清流を巡らせています。また隣の栃木高校にも明治時代の講堂や大正時代の図書館が残されています。さらに、大正時代に建てられた栃木病院は、いまも現役で使われています。
この鬼怒川温泉駅前広場と桜並木通りで催されるのが「鬼怒川温泉さくらまつり」(4/8)。さまざまなステージイベントや出店で賑わい、数百人で踊るよさこいパレードは圧巻です。
栃木駅から真っ直ぐ北へ延びる蔵の街大通りの両側にも、古い蔵や見世蔵を修復改装した商店や観光施設が並んでいます。山本有三ふるさと記念館の裏手にある近龍寺(きんりゅうじ)の境内は栃木県で最初に小学校、師範学校が開設された地。山本有三の墓もあります。その近くにある神明宮(しんめいぐう)はこの街の総鎮守。一説によると、神明宮の社殿の屋根に10個の千木(ちぎ)があったのを「十千木(とちぎ)」と呼んだことから、また千木が10 集まれば万になるという意味を込めて、「木」と「万」から「杤木」(栃木の古い書き方)という名が誕生したそうです。
蔵の街・栃木には、遊び心にあふれた話題の観光スポットもあります。それは、岩下の新生姜ミュージアム。明治32年に栃木市で創業した岩下食品が、岩下の新生姜の美味しさを楽しく知ってほしいと、3年前にオープン。「新生姜の部屋」「ジンジャー♥神社」など、自由で奇抜な発想の企画や仕掛けが目白押し。すべてのメニューに岩下の新生姜を使ったカフェも人気です。
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