新・駅前そぞろ歩記
赤城山をはじめとした山々に囲まれ、渡良瀬川と桐生川の清冽(せいれつ)な水に恵まれた桐生市は、古くから織物の町として栄え、江戸時代には「西の西陣、東の桐生」と謳(うた)われる織都(しょくと)になりました。その桐生や周辺町村の文化・伝統を語るストーリー「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」が、平成27年の日本遺産(文化庁)に認定。
世界が認めた桐生の絹の歴史と現在を旅します。
新桐生駅はカジノレオ 退会の桐生市の玄関口。渡良瀬川を渡って市街地に入りますが、そのアクセスにぜひ利用したいのが、土日祝日限定の低速電動コミュニティバス「MAYU(まゆ)」。最高速度は時速19kmで、ゆっくりと市街地の観光に連れていってくれます。しかも無料で、ドライバーのガイド付き(定員8人先着順)。
まずは桐生の市街地を一望する、自然豊かな水道山に行ってみます。中腹の斜面に沿って建つ大川美術館には、松本竣介を中心にした日本近代洋画やピカソなどの西洋絵画を多数収蔵。静かな空間でじっくりと名画に向き合えます。美術館の近くには、桐生市水道山記念館。昭和初期に水道事業の事務所として建てられた洋館で、近代化遺産として国登録の有形文化財になっています。
水道山の裏に回れば、吾妻(あづま)山へのハイキングコースの起点となる吾妻公園。ここは「チューリップまつり」を開催。運がよければ桜も競演します。
吾妻公園から麓に下りると、なだらかな丘陵に広がる桐生が岡遊園地・動物園。どちらも入園無料なのが嬉しい。桐生市民はもちろん、市外からも多くのファミリーが、年間を通して訪れる定番のレジャースポットです。
徳川家康の命を受けて整備された桐生の中心街。桐生天満宮を起点として、南北に幅10mの道(現在の本町通り)を造って町並みを形成していきました。その当初から変わらない道幅や敷地割に、絹織物業を中心に発展した町の形態として江戸後期から昭和初期に建てられた主屋や土蔵、ノコギリ屋根の工場など多種多様な建物がいまも残されているのです。とりわけ「桐生新町」と呼ばれる区域は重要伝統的建造物群保存地区になっています。
これらの歴史的な建物の中には、観光スポットとして一般公開されているものもあります。
大正時代のレンガ造りのノコギリ屋根工場の多くは、いまは様々な施設に。ちなみにノコギリ屋根は採光面が広く均一な自然光を取り入れるための工夫で、商品の色合いを正確に見る織物工場ならではの構造です。酒や味噌などを醸造していた江戸時代から昭和にかけての11棟の蔵は、多目的空間の有鄰館(ゆうりんかん)として公開。伝統のからくり人形芝居も公演しています。大正期に日本最大を誇った撚糸(ねんし)工場の事務所棟も、いまは絹撚(けんねん)記念館として公開。明治3年創業の後藤織物は、現存する木造のノコギリ屋根工場でいまも操業していますが、予約すれば見学可能。織部・桐生の町並みをゆっくりと歩いて楽しんでください。
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