新・駅前そぞろ歩記
池袋駅の開設は明治36年。そこにカジノレオ ボーナス東上線(当時は東上鉄道)が乗り入れたのは大正3年です。いまや池袋駅は8つの鉄道路線が乗り入れるマンモスターミナル。西口駅前では、大規模な再開発事業が始まろうとしています。今回は西口から西池袋を散策します。西口には明治の終わりから大正にかけて豊島師範学校や成蹊学園、立教大学などの教育施設が建ち、さながら文教地区の様相を呈していたそうです。
池袋西口公園は、師範学校跡地に造られました。ステージのある野外劇場でもあり、公園の頭上に巨大な円形のパーゴラを巡らせていることから「グローバルリングシアター」と呼ばれています。この公園の奥には、芸術の聖地ともいえる東京芸術劇場が。
2年前に行われた西口公園の改修は、実は壮大な西口再開発の第一歩。西口エリア全体に賑わいを広げるために、駅と街をつなぐ駅前空間や、駅から街に出ていきたくなるような建物計画が検討されています。
この池袋西口は「池袋モンパルナス」とも呼ばれました。かつて豊島区西部にはアトリエ村が点在し、夜にはそこの芸術家たちが池袋に繰り出し、酒を酌み交わし芸術談義をしていたことに因(ちな)みます。現在でも毎年5月に東京芸術劇場はじめ百貨店、大学、ギャラリーなどを会場に「池袋モンパルナス回遊美術館」が開催されています。
芸術といえば、西池袋の住宅街にある国の重要文化財「自由学園明日館(みょうにちかん)」も見ものです。明日館は、ジャーナリストの羽仁(はに)もと子・吉一(よしかず)夫妻が大正10年に創立した自由学園の旧校舎で、設計は近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト。講堂を含め一般公開されています。
明日館の見どころはやはりライト流の、外光を巧みに取り込み、幾何学的な装飾を用いて変化に富んだ内部空間。ホールや教室、食堂と、どこに佇んでも調和のとれた心地よさを感じます。ちなみに講堂はライトの愛弟子・遠藤新(あらた)の設計です。
西池袋の住宅街で発見したのは「ポポタム」。国内外の美術本やミニコミ誌、絵画作品などを取り扱うブックギャラリーで、知る人ぞ知るといった感じの品揃えが魅力です。また、この店の近くには大正の歌人・柳原白蓮(やなぎはらびゃくれん)の旧宅があります。
次いで、上(あが)り屋敷公園。「上り屋敷」とは?じつは江戸時代、この地域は徳川家の狩猟地で、狩りに来た将軍らの休憩所のことを上り屋敷と呼んでいたそうです。そして西池袋公園へ。都会の中の緑のオアシスで彫刻もいっぱい。周囲をフェンスで囲んだキャッチボール場があり、思い切りボール遊びができるのが嬉しい。
この季節だからこそ紹介したいのは、立教大学のクリスマスツリー。毎年12月、大学正門にある高さ30m以上の2本のヒマラヤスギの大木に、温かく色とりどりの電飾が施され、夜空にきらきらと輝くのです。その美しさに道行く人も足を止めて見入ってしまいます。
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