新・駅前そぞろ歩記
鬼怒川温泉の発見は江戸時代。元禄4(1691)年という説があります。当時の鬼怒川温泉は江戸と会津若松を結ぶ宿場町として栄えていましたが、温泉は日光奉行の直轄で、大名や日光山の僧侶たちだけが入浴できました。一般に開放されたのは明治以降です。
いまでは、関東の北の奥座敷として首都圏から多くの人たちが訪れる屈指の温泉郷となっています。開湯330余年の鬼怒川温泉をめぐります。
鬼怒川温泉駅は、鬼怒川温泉の玄関口。観光客を出迎えるように立つご当地マスコット「鬼怒太」像の向こうには、奥深い山々に囲まれた温泉街が広がっています。駅前広場には、足湯・手湯の「鬼怒太の湯」。そしてSL転車台。ここにSL大樹が入線すると、皆が周りを取り囲みます。SL大樹が汽笛一声。皆さん大喜び。そう、これは駅前のお楽しみイベント。鬼怒川温泉駅そのものが観光スポットなのです。
鬼怒川を挟んで両岸に大型ホテルや旅館が立ち並ぶ温泉街では、両岸を結ぶ橋の上から鬼怒川の渓谷美を眺めることができます。「ふれあい橋」は、幅員が広いにもかかわらず歩行者専用の橋。広場のような橋です。左岸から階段を下りていきますが、橋に出てその階段を振り返ると、そこには約45mの巨大な鬼怒太の階段画が出現します。
少し上流側の「くろがね橋」の袂たもとには足湯・手湯の「鬼怒子の湯」があり、のんびり温まりながら鬼怒川を眺めるのもオツ。
夜の鬼怒川温泉では、毎週土曜日に花火の打ち上げ「鬼怒川焔火」を開催(20時45分から約8分間)。ホテルや旅館の部屋から観賞しますが、部屋から見えない場合は、ふれあい橋やくろがね橋からも観賞できます。
鬼怒川は大自然が創造した渓谷美の極みとして知られていますが、その素晴らしさを最も近い目線で楽しめるのが、名物の鬼怒川ライン下り。鬼怒川温泉駅近くの乗船場を出発し、下流の大おお瀞とろまで約6㎞、40分の船旅です。
最初に目の前に迫ってくるのは、高さ100mもの巨岩「楯岩」。鬼怒川最大の名勝です。
前後二人の船頭さんの巧みな櫂かいさばきで船は急流を乗り越え、「象岩」や「軍艦岩」などの奇岩怪石へ。川の流れに合わせて移りゆく渓谷美もさることながら、船頭さんの個性豊かなガイドも魅力の一つです。
ライン下りのほかに近年では、ゴムボートに乗り込んでガイドとともに渓谷を漕ぎ下るラフティングも人気。途中でボートから川に飛び込んで水遊びすることもあります。また、ウエットスーツを着て鬼怒川の清流で泳いだり岩盤を滑り下りたり滝壺にダイブしたりして遊ぶキャニオニングも開催しています。
ちなみに、ライン下りで船から眺めた名勝・楯岩ですが、じつは歩いて登ることができます。楯岩の下流に架かる全長140mの歩道橋「鬼怒楯岩大吊橋」を渡って遊歩道を右へ進み、手掘りされた楯岩トンネルを通り抜け、少し急な階段を登ると楯岩の頂上へ。
展望台からは鬼怒川温泉の全景が見られます。
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