新・駅前そぞろ歩記
東武スカイツリーラインの浅草駅から鐘ケ淵駅辺りまで、隅田川中流の東側に広がる墨田区・江東区の町々を「墨東」と呼んでいますが、その墨東の北部には隅田川と荒川(荒川放水路)が急接近しています。その二つの川に挟まれた細長い土地にあるのが、堀切駅です。駅の東側はすぐに荒川の堤防。駅西側を300m歩けば隅田川。
そして駅の南側には隅田川と荒川を結ぶ旧綾瀬川の水路。
足立区にある水辺の堀切駅、そして牛田駅なのです。
堀切といえば堀切菖蒲園。その花見客の便宜を図るために1902(明治35)年に堀切駅が開設されました。ところがその後、駅の位置が荒川放水路の掘削地になったため、駅は閉鎖に。1924(大正13)年の放水路通水に伴って放水路西側の現在地に堀切駅が復活したのです。そして菖蒲園は放水路の東側。
昔は堀切駅から東に向かって歩けば堀切菖蒲園と行き来ができましたが、現在は荒川に架かる堀切橋を渡って堀切菖蒲園に向かいます。
この地域は江戸後期から明治にかけて花菖蒲の全盛期で、数々の菖蒲園が競い合いました。しかし昭和の戦時下の影響で相次いで閉園。戦後に再興したのが、都立公園として開園した堀切菖蒲園なのです。その後、葛飾区に移管され、江戸時代からの品種をはじめ、約200種・6000株の花菖蒲を栽培。堀切から世界に花菖蒲の文化を発信しています。
花菖蒲の見頃は例年5月下旬〜6月中旬。
園内のどこからでも見応えある花の姿になるよう、同じ品種が重ならない工夫で植栽され、奥行きある優美な花の世界感を楽しめます。
5/27~6/16には葛飾菖蒲まつりが開催され、6/7と6/8には夜のライトアップも。
それでは再び堀切橋を渡って荒川の西側・足立区へ。牛田駅の周辺を散策します。
荒川の西側に広がる柳原は古くからの下町。
いくつもの路地が繫がり複雑に交差する町並みには、のどかで懐かしい雰囲気が漂っています。そんな町の中に自然豊かな緑のスポット・柳原千草園があります。その歴史は新しく、製紙工場跡地を足立区が買い上げて1989(平成元)年に開園。園内は四季をテーマにし、「春の広場」にはロウバイやサクラ、「夏の庭」にはシャクナゲやアジサイ、「秋・冬の山」にはカエデ類を中心に黄葉・紅葉するものなど、一年を通して草花が楽しめる公園です。
柳原町の鎮守は柳原稲荷神社。創建は慶長年間ということで、江戸時代から昭和・平成・令和の現代まで、下町の人々の暮らしを静かに見守っているのです。
柳原から南へ歩いて行くと、ほどなく大きく蛇行する隅田川の流れに出ます。千住汐入大橋のたもとに広がっているのは千住大川端公園。眼前に隅田川を臨む絶好のロケーションです。対岸に並び立つ高層ビルやタワーマンション。その下を夏の日差しを受けてゆるゆる流れる金波銀波の大川……隅田川は荒川とは一味も二味も違った趣があります。公園内には、水上バスで隅田川・荒川・東京湾臨海部を一日かけてゆったりと周遊する「東京水辺ライン」の千住発着場があります。
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