新・駅前そぞろ歩記
東武アーバンパークラインで最も乗降客が多いのは、柏駅です。そして柏駅を中心にした柏の街は千葉県有数の商業都市。大型店や商店街、多彩な飲食店が軒を連ねています。
その繁栄のシンボルが、柏駅東口に広がるペデストリアンデッキ(歩行者専用の高架歩道・広場)。1973(昭和48)年に日本で最初に作られたもので、朝から夜まで、市内外からたくさんの人が往来して賑わっています。
柏駅東口のペデストリアンデッキは地元では「ダブルデッキ」と呼ばれ、駅前の憩いの広場として、多くの市民活動の場として親しまれています。地元と行政が連携したストリートミュージシャンの登録制度は先進的な取り組みで、柏のダブルデッキは「ストリートミュージシャンの聖地」とも呼ばれます。
東口から、日曜日には歩行者天国となる大通りを歩きます。旧水戸街道との交差点そばに柏神社。古くから「天王さま」と呼ばれて街の人々に親しまれています。そして柏神社の裏手に佇む小さな社は櫻株稲荷神社(水戸屋稲荷)。ここは柏に伝わる昔話の舞台のひとつで、水戸藩の殿さまがここにあった桜の切り株に座って休憩したときに賢い狐と出会った逸話があり、そこでこの地に稲荷を祀るようになったとか。
旧水戸街道の東側には「ウラカシ」と呼ばれるエリアがあります。20年ほど前に約50店の古着店が集まり、古着文化で賑わう東京・原宿の路地裏=ウラハラに対して、柏の路地裏=ウラカシと名付けられたのです。いまは大通りを除く駅周辺の通りをウラカシと呼ぶそう。古着店は減りましたが、セレクトショップや雑貨店、クラフトショップなど個性的な店が文化を発信しています。
柏駅の西口側も東口に負けず劣らずの賑わいぶり。大型商業施設やオフィスビルが立ち並び、駅前から放射線状に商店街が延び、飲食店や雑貨・服飾店などが軒を連ねています。
西口のデッキを下りて地上に出ると見えてきたのが「キネマ旬報シアター」のエントランス。駅直結の映画館です。「キネマ旬報」で親しまれる老舗映画雑誌社が運営するだけあって、選りすぐりの作品が洋邦・新旧問わず3スクリーンで上映されています。また、エントランスには映画を観ない人でも利用できるカフェや、『キネ旬』のバックナンバーや映画関連図書が閲覧できる図書館も。
西口の中心街には柏西口第一公園……というより「SL公園」と呼ばれている公園あり。34年間で地球を58周分走破したという蒸気機関車D51が保存・展示されています。毎年こどもの日には「D51ふれあい祭り」が開催され、D51の運転席の試乗体験や特設のミニSL試乗などで賑わうそうです。
柏駅には東口・西口の他に南口もあります。南口の近くには明治中期に創建の旭町香取神社。その境内には大鳥神社が合祀されています。毎年11月には酉の市が開催され、おかめや招福の縁起物を飾った熊手でとてもにぎわいます。
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