新・駅前そぞろ歩記
池袋から延びる東武東上線の中で成増駅は東京の西端。次の和光市駅は埼玉県です。改札を出ると、駅ナカ商業施設「EQUiA(エキア)成増」のお店がズラリ。北口のペデストリアンデッキに出ると、成増出身の童謡詩人・清水かつらの碑。のどかな農村の春を歌った『みどりのそよ風』の歌詞が紹介されています。 成増駅前はすっかり都市化された賑わいを見せていますが、奥の住宅地にはこの歌の面影がまだまだ残っているのです。
成増駅周辺は武蔵野台地と荒川低地の境にあたり、とくに北口側の赤塚地区は起伏に富んで坂が多く、瀟洒(しょうしゃ)な住宅街になっています。その所々に畑地が散在。これは板橋区が地区の農地を借りて区民に家庭菜園として貸し出す「板橋区民農園」で、この地区がかつて一面の農村だった名残りでもあります。また、この住宅街に佇む赤塚氷川神社は旧上赤塚村の鎮守で、長い参道にはケヤキの古木が並び、武蔵野の面影を残しています。その参道入口の老木は落語「怪談乳房榎」のモデルの1つといわれ、乳房の病いに霊験あらたかということで「赤塚乳房大神」の碑が立てられています。
室町時代に武蔵千葉氏が治めていた赤塚城跡は、いまは赤塚溜池公園となって地区の憩いの広場に。小高い丘の上に本丸跡の碑が立っています。釣り人で賑わう溜池も、かつては赤塚城の内堀だったそうです。園内には約200本のウメが植えられ、咲きほころぶ紅白の花が春の訪れを告げます。3月3・4日には「赤塚梅まつり」が開催。出店が並び、「赤塚城戦国絵巻武者行列」など見どころ満載のイベントが催されます。
公園に面して建つ板橋区立美術館は、東京23区で初めての区立美術館として昭和54年に開館。コレクションは江戸狩野派を中心とした近世絵画、大正・昭和の前衛美術、板橋区ゆかりの作家などで、企画展として『イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』を毎年開催しています。2月24 日からは、『東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村』が開催されます。
同じく公園に面した板橋区立郷土資料館も見どころいっぱい。旧石器から室町時代までを「生きる」、江戸時代を「暮らす」、明治以降を「戦う」という3つのテーマで紹介し、貴重な資料を展示しています。裏庭には江戸後期に建てられた古民家を移築保存。2つの座敷と勝手・納戸が田の字型となる間取りで、中を覗くとその当時の暮らしの温もりが感じられます。特別展・企画展も積極的に行っており、2・3月は『水のゆくえ 荒川の歴史』を開催中。また同館では、オリジナルのミュージアムグッズも揃えています。只今「臼砲根付」と「甲冑ストラップ」を絶賛販売中。
菅原神社は旧成増村の鎮守。境内には神楽殿があり、地元の人たちが「成増里神楽」の保存会を結成、伝統の民俗文化を守っています。菅原神社といえば、道真公伝説の飛び梅。というわけで、神社の向かいには「成増うめの里公園」があります。
成増駅前には、南北合わせて5つの商店街が賑わっています。成増北口通り商店街はほのぼのした地域密着型。近くには「ソライエ成増」(2月下旬完成予定)など新築の大型マンションが増え、新しい住民からは日常の買い物が気軽にできる商店街として期待が寄せられます。
いっぽう南口には、安全で(Safety)親切で(Kindness)面白い(Interest)を基本理念に楽しい(Pleasure)商店街を目指す「なりますスキップ村」。人通りが最も多い駅南口から川越街道まで続く商店街で、「板橋3大まつり」のひとつ「成増阿波おどり大会」のメイン会場です。
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